ネコと旅とラフロイグ

しおふきんちゃんの備忘録

独身でいること

 もう何年も恋愛をしていない。40も半ばに差し掛かると、大人らしく「恋愛というより安心感のあるパートナー的な関係性」という方が主流なのかもしれないけど、私の恋愛観が幼稚なせいか、後にパートナーになる相手だとしてもやっぱり初めはときめいたりエロい気持ちになったりしたいと思ってしまう。

 30代後半ぐらいに、知人たちに独身男性を次々と紹介してもらってデートしてみた時期があった。「こんないい人がよく独身でいたな」と思うほど素敵な人もいた。でも初めから「この人と恋愛できるかな、一緒に暮らせるかな」と考え過ぎてついつい減点法で相手を見てしまい結局誰とも続かなかった。この時期に、昔ちょっとだけ付き合っていた男友達に何年ぶりかに呼びだされ「海外赴任についてきて欲しい」とプロポーズされたこともあったが、交際4か月で国際結婚した挙句離婚した経験のある私には、突然のプロポーズに身をゆだねるほどの勇気も体力ももう無かった。

 そんなことがあってから、一応ひと通りの事はやるだけやったという気持ちも手伝って積極的に再婚相手を探すことをすっぱりやめた。当たり前の事だけど、40過ぎて受け身で過ごしている女にそうそう出会いなんかやってこない。いつもの酒場の顔見知りと突発的な関係になったり、仕事で知り合った男性と何となく数回ご飯なんか食べに行ってフェードアウトしたり、元彼と久々に会ってみたりの繰り返しで、いわゆる大人の女性がすべきまともな(安定した)恋愛とは無縁な生活を送っている。

 20代の自分が一体どんな40代の恋愛事情を想像していたかはよく覚えていないけど、今のようなものではなかったことだけは確かだ。20代の私はきっと、40代なんてもう恋愛からはとっくに卒業して、夫と老後の計画を立てているだろうくらいに思っていたのだろう。そして実際の私は、夫とではないけれど、ひとりで老後をどうやって過ごそうかという方向に思考がシフトしてきている。仕事が大変だったり身内の悩み事があったりプライベートが寂しすぎたりして、やっぱり支え合うパートナーがいたらいいのにと思う事も少なくないけど、まだギリギリ独り身の気楽さと自由さがそれを上回っている。また、最低限の幸せな結婚生活というものを一度は手に入れかけて失敗した自分が、今後またそれを手にすることが出来るとは到底思えないというのもある。

 あくまでも私の肌感覚なのだが、ここ数年で人の生き方に対する世間の許容範囲がぐんと広がったのを感じる。手垢のついた言い方かもしれないけど、大企業に就職して安定しろとか、30過ぎて独身はおかしいとか、結婚してるのに子どもを産まないのかとか、同性愛は認めないとか、そういう事を声高に言う人たちが「前時代的」とされるようになり、そこに当てはまらない生き方をする事が(少なくとも都市部では)以前ほど息苦しくなくなってきているという実感がある。少子高齢化もあり、好むと好まざるとに関わらず、親世代と比べて独りで老後を迎える人たちも格段に増えて社会の受け皿も変化していくだろうし、健康とお金さえ大切にしていれば”自分だけがものすごく孤独”という事態は避けられるのではないかと少し楽観視もしていたりする。(その健康とお金の維持が一番難しいんだけど。)

 そうやってこのまま独身でいる事に対して自分なりに折り合いをつけて日々過ごしているのだけど、人ごみの中で同年代の夫婦やカップルとすれ違うたびに「どうして自分には大多数の人たちが当たり前に出来ている事が出来ないんだろう」というコンプレックスのようなものをうっすらと感じてしまうのだけは、どうしても止められないのだ。

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