「おうち時間」のこと

もともと出不精で用事がない限り一日中家にいることがほとんどなので、コロナ後のライフスタイルという面で言うとかなり変化は少ない方だと思う。会社員時代と違って、独立してからは打ち合わせや会議以外はほとんど在宅で仕事が出来るようになっていたのも大きい。

手洗いとかソーシャルディスタンスとか、未来に対する不安という点ではもちろん大きな変化を感じているけど、日々の生活だけを取ってみるとほとんど無理なく過ごすことができている。それは今の状況下では恵まれていることなのだろうし、自粛中も通勤したり人と接しなければならない人たちに迷惑をかけないためにも普段以上に外に出ないようにして過ごしている。

 

コロナの影響で仕事がいくつかキャンセルになり、対面での打ち合わせや会議もなくなって数か月が経つ。友人と食事に行く代わりにZoom呑みを覚え、ネットで買い物や宅配を頼みドア前に置き配してもらう。美容院やマッサージなどの自分メンテは誰とも会わない生活の中では必要がなくなった。

お子さんがいるご家庭の大変さは別格として、普段アクティブな人たちにとってStay Homeというのはひどく苦痛なことのようで、メディアやSNSでも連日「いかに退屈しないでおうち時間を過ごすか」のアイデアが紹介されている。それらを見ていると、コロナ前も後も変わらず「おうち時間」を淡々と過ごしている自分の孤独なライフスタイルが浮き彫りにされてくるような気がしてふいに焦燥感にかられる時がある。

 

毎朝起きてメイクもおしゃれもせずオンライン上で仕事を済ませ、近所のスーパーで買ってきた食材でおつまみを作ってテレビや映画を見たりネコ達と遊びながら呑んで、眠くなったらラジオを聴きながら寝る。楽しみにしているビッグイベントもなければ、お互い声を掛け合うような親友や存在を思うだけでホッとするようなパートナーもいない。コロナ前から仕事上も転機を感じて受け身で仕事をしているため、緊張して眠れないようなチャレンジングな仕事も抱えていない。

コロナを機に刻々と変わっていく世の中の動きがきっかけで今の自分の状況を変えられるのではないかという希望は、いつの間にか「変えなければいけないのにそれが出来ていない」ことへの焦りに変わっていく。自分の将来についていつも以上に考えているのに、答えからはますます遠ざかっていく。

 

コロナのことは心配だし悲しい出来事や嫌な出来事も見聞きした。早く収束してのびのびと生活出来る世の中に戻って欲しいと切に願う。

ただ、それとは全く別のところで、世の中が通常に戻った時にもう無邪気に「おうち時間」を楽しめなくなっている自分が、これから一体どんな希望を持って生きていけるのか、つい不安に思ってしまうのだ。

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